製造年代・ムーブ
セイコーで長く腕時計技術者だった橋本賢次が独立して創業したケンテックスは、全国の一流百貨店をはじめ、各地の老舗時計店主の厳しい鑑識眼に合格し、日本中の時計専門店で不可欠の逸品として専門家の定評が確立している国産機械式腕時計の名門です。
自衛隊公式エンブレムの使用を許された公認時計が長年にわたり自衛隊官舎売店で販売されていることからも、正確性、耐久性、堅牢度のいずれをとっても人命をかけた厳しい任務に耐える品質が、最前線の隊員と経験豊富な将官から高く評価されてきました。そのケンテックスが国産初のトゥールビヨンを製造して業界を驚ろかせたのが2006年でした。その後さまざまな進化を遂げて、2018年に発売されたRef. E540M-02がこちらです。
通常のトゥールビヨンでは、回転するキャリッジを支えるブリッジが表面と裏面の両方にありますが、こちらは裏面だけで支える技術的に難易度の高いフライング・トゥールビヨンとなっており、キャリッジの動きが文字盤側からつぶさに観察できます。(手巻き)
限定30本の製造で、当時のメーカー希望小売価格は540,000円(税込)でしたが、すぐに売り切れています。
特徴・セールスポイント
文字盤は気品あふれるホワイト系シルバーを基調として、全面に繊細なギョーシエ彫が施されています。ローマ数字のインデックスに、針はブルードスチールと、最高級腕時計の様式美を正確に踏襲しています。
6時位置のフライング・トゥールビヨンのキャリッジが1分間で1回転し、秒針を兼ねています。12時位置にパワーリザーブ表示、3時位置にポインターデイト、9時位置にサン&ムーン表示と、複雑機構が満載です。ケースバックはサファイヤガラス製、全面開口のシースルーバックになっており、コート・ド・ジュネーヴで美しく装飾されたムーブメントを隅々まで眺めることができます。表面も裏面も眺めていて飽きることがありません。
ケースサイドには熟達した彫金師による手彫りの芸術的な作品が3時側と9時側の両サイドに装着され、贅沢な工芸品となっています。
コンディション・傷・ブレスのコマ・付属品
発売開始直後に御徒町にあるメーカーの本社直営ブティックにて購入したもので、ワンオーナー品です。1本ごとにシリアルナンバーがゴールド鍍金で刻印されており、こちらは収集家垂涎の記念すべきナンバーです。
購入後も収集用としてほぼ装着せずに保管していましたので、ルーペで見ないとわからない細かい拭きスレ程度で美品です。
純正の外箱、内箱、枕いずれも美麗で、購入時の状態を保っています。ベルトは純正のワニ革で、純正Dバックルが付属します。新品時のまま枕に巻いて保存していたため、革ベルトが枕の形状に湾曲していますが、着用して外出したのは合計10回以下で、ほとんど使用感はありません。メーカー発行の国際保証書、取扱説明書が付属します。
日差・サイズ
日差:手元の測定では、平置24時間で+22秒です。手巻きの巻き上げは極めて軽快です。
サイズ:ケース直径 42mm(竜頭含まず)
腕回り 約16~19.5cm