モーリス グランプリ 手巻き 希少 ハニカム文字盤 MOERIS GRANDS PRIX・HA-6642

1950年代 MOERIS cal.10 1/5CD 17石 手巻き 18000振動

1893年にFritz Moeriがモーリスの前身となるMoeri&Jeanneretという時計工房を開いたのが始まりです。日本でも戦前から主に懐中時計が大量に輸入され、昭和30年代位まで人気のあったスイスの時計ブランドでしたが、TISSOT(ティソ)に合併吸収され、モーリス ブランドは消滅してしまいました。

今回、ご紹介するお品は、モーリス グランプリ 手巻きです。この時計の最大のチャームポイントと言っても過言ではない、目立った傷みも無い、美しいアイボリー色のハニカム文字盤、アップライトのクサビ形インデックス、12、3、4、6、8、10のアラビア飛び数字、そして、それらを指し示す、金色の長短針のドルフィン針と、アイボリー色の文字盤に対して、差し色となる、赤色の矢印型の秒針がアクセントとなり文字盤全体を引き締めます。そして、12時下にある、モーリスのMのエンブレムもマニュファクチュールとしての誇りが感じられます。竜頭、裏蓋にも同じMのエンブレムが確認できます。また、この当時のモーリスは、ケースが腐食しているものが多くみられますが、このモーリスはケースの状態も非常に良く、腐食は皆無です。ケースサイズは約30mmで、他のモーリス グランプリは、ケースサイズは約33mmが多いと思いますので、その点も希少だと思います。文字盤や針、裏蓋も一回り小さいです。
裏蓋は、スクリューバック方式で、汗ばむ季節の使用も、それほど心配は要りません。やはり、ロレックスのオイスターケースではないですが、密閉性の高いケースが、文字盤やムーブメントを守り、後年まで、状態の良い時計を残す事ができたのでしょうね。(ステンレスはアルカリに弱いので、汗をかいた使用後は、ケースに付着した汗をウエス等で、小まめに拭き取って頂くと、ケースの良い状態が長く保てると思います。)風防は、プレキシガラス(アクリル)のドーム形状です。

搭載ムーブメントは、MOERIS cal.10 1/5CD 17石 手巻きで、毎時18000振動のロービートの心地よい響きにも癒されます。テンプはチラネジ付で、大変、手間の掛かったムーブメントです。ムーブメントの地板も厚さが有り、「しっかりとした良いものを作っていたんだな」と思わせるものです。日本の時計メーカーが影響を受けるのも頷けます。

この時計を見るにつけ、これだけ良い時計作りをしていた時計ブランドが、今は存在しないとは「人生とは皮肉なものだなぁ」と思わずにはいられません。モーリスが、セイコー等に技術供与を行っていた事が、結果として「敵に塩を送る」という形となってしまったのかもしれませんね。
それはさておき、文字盤はチャーミングで、搭載ムーブメントは自社ムーブメントとくれば、これ以上求める物はありません。魅力の詰まった時計です。モーリスのコレクターの方でも、これだけ状態の良い個体は中々目にする事は少ないと思いますので、是非、この機会にいかかでしょうか。また、モーリスファンの方だけでなく、セイコーの機械式時計の礎となった時計メーカーだけに、セイコーファンの方にとっても、見逃せない1本です。

使用に伴う小傷はありますが、製造年代を考慮すれば美品だと思います。風防は今回の出品にあたり交換済みです。

革ベルト、尾錠は社外品です。

付属品はありません。

日差:平置きで実測±30秒程度に収まっております。
サイズ:ケース横幅(リューズ含まず)約30mm
ケース縦幅(ラグ含む)約36mm
ラグ幅 約16mm