モーリス グランプリ 手巻き 植字ミニッツマーカー 美品ケース MOERIS GRANDS PRIX・HA-6773

1950年代 MOERIS cal.10 1/5CD 17石 手巻き
18000振動/h

1893年にFritz Moeriがモーリスの前身となるMoeri&Jeanneretという時計工房を開いたのが始まりです。日本でも戦前から主に懐中時計が大量に輸入され、昭和30年代位まで人気のあったスイスの時計ブランドでしたが、TISSOT(ティソ)に合併吸収され、モーリス ブランドは消滅してしまいました。

今回、ご紹介するお品は、モーリス グランプリ 中三針 手巻きです。
アップライトのクサビ形インデックス、12時、3時、6時、9時の個性的で魅力的な書体のアラビア飛び数字、そして、文字盤の外周を囲むミニッツマーカーも、全て、植字になっております。この様な製作に手間の掛かる文字盤は、近年では、あまり見かけ無くなりました。アンティークウオッチの面目躍如と言ったところです。文字盤には、スポット(シミ)が数多く出ていますが、それを含めて、アンティークウオッチらしい、わび、さびの大変、美しい文字盤です。(今回の出品に当たり、蒸留水で湿らせた綿棒により、軽く文字盤洗浄を行っておりますので、シミはありますが、汚れは、ほぼ無い状態になっております)
そして、12時下にある、モーリスのMのエンブレムもマニュファクチュールとしての誇りが感じられます。竜頭、裏蓋にも同じMのエンブレムが確認できます。また、この当時のモーリスは、ケースが腐食しているものが多くみられますが、このモーリスはケースの状態も非常に良く、腐食は皆無です。現在、モーリスの時計を愛用されている方でも「時計自体は、凄く気に入っているが、もう少し、ケースの状態が良ければなぁ」と思っている方も多いのではないでしょうか。モーリス愛用者あるあるですね。やはり、ケースの状態が良いと、見た目の美しさだけでなく、腕時計を装着した時の安心感が得られる事が何より嬉しい点です。
裏蓋は、スクリューバック式なので、汗ばむ季節の使用も、それほど心配は要りません。
裏蓋には、シリアルナンバー、ANTIMAGNETIC、INCABLOCK、WATERPROOF等の文字が確認できます。刻印は鮮明です。

風防は、プレキシガラス(アクリル)のドーム形状です。

搭載ムーブメントは、耐震装置付きのMOERIS cal.10 1/5CD 17石 手巻きで、毎時18000振動のロービートの心地よい響きにも癒されます。テンプはチラネジ付で、大変、手間の掛かったムーブメントです。ムーブメントの地板も厚さが有り、「しっかりとした良いものを作っていたんだな」と思わせるものです。日本の時計メーカーが影響を受けるのも頷けます。

この時計を見るにつけ、これだけ良い時計作りをしていた時計ブランドが、今は存在しないとは「人生とは皮肉なものだなぁ」と思わずにはいられません。モーリスが、セイコー等に技術供与を行っていた事が、結果として「敵に塩を送る」という形となってしまったのかもしれませんね。
それはさておき、文字盤はチャーミングで、搭載ムーブメントは自社ムーブメントとくれば、これ以上求める物はありません。決して派手な時計ではありませんが、所有する者に喜びと満足感を与えてくれる不思議な魅力を持った時計です。是非、この機会にいかかでしょうか。また、モーリスファンの方だけでなく、セイコーの機械式時計の礎となった時計メーカーだけに、セイコーファンの方にとっても、見逃せない1本です。

文字盤には、スポット(シミ)が数多くありますが、ケースはスレ傷程度で、製造年代を考慮すれば美品だと思います。風防は今回の出品にあたり交換済みです。

革ベルトは、未使用の社外品です。

付属品はありません。

日差 平置きで実測±20秒程度に収まっております。
サイズ:
ケース横幅(リューズ含まず)約33mm
ケース縦幅(ラグ含む)約41.5mm
ラグ幅 約18mm