初代グランドセイコーが誕生するまで 〜国産時計の軌跡〜
今回は、日本を代表する高級時計ブランド「グランドセイコー(GS)」が誕生するまでの歴史を振り返ってみたいと思います。
GSが誕生するまでには、セイコーのたゆまぬ挑戦と進化がありました。
1950年:「スーパー」 〜今後の復興の歩み〜
1950年(昭和25年)、戦後の混乱がまだ色濃く残っている中、セイコーが発表したのが「スーパー」でした。 当時は2針(小秒針つき)の時計が主流でしたが、スイス製品の流行を受け、本格的な中三針として腕時計として登場。戦争の滞りをしていた日本の時計産業の復興を象徴するモデルでもありました。
1956年:「オートマチック(17石)」 〜日本初の自動巻き時計〜
1956年(昭和31年)、日本で初めて製品化された自動巻き腕時計。通称「巻印」と呼ばれていたインジケーター採用機が登場しました。6時位置のニバフレックスとは当時使用されていた切れにくいゼンマイの事を指します。
1956年:「マーベル(17石)」 〜精度向上の革新モデル〜
同じく1956年(昭和31年)、「オートマチック」と並んで登場したのが「マーベル」です。
スーパーに代わりに登場したモデル。ムーブメントの外径を大きくすることでテンプ、歯車のサイズアップにつながり、高精度を実現。また、安定したムーブメントを生産できるようになり次世代を担う商品として注目を集めました。
1959年:「シャイロマーベル(17石)」 〜耐久性の向上へ〜
1959年(昭和34年)、さらなる改良を加えた「シャイロマーベル」が誕生しました。巻き上げ効率が良く、部品数が少ない独自の自動巻き機構「マジックレバー」を搭載して発売。
自動巻き時計の普及に貢献し、その後の自動巻きモデルのほとんどに引き継がれて行きました。
この頃から、セイコーの時計作りは「精度」だけでなく「耐久性」も重視するようになり、後のグランドセイコー誕生まで続いていきます。
1959年:「クラウン(21石)」 〜グランドセイコーの直系モデル〜
1959年(昭和34年)、新たな進化を遂げたモデル「クラウン」が登場します。
「マーベル」の進化形として開発されたこの時計は、21石のムーブメントを搭載し、より高精度かつ高級感のある仕上がりで発売された大型モデル。香箱が最大サイズになるよう設計され、安定した高精度を実現。当時の最高級品として人気を集めました。
後の「グランドセイコー」へと繋がる直接の前身となるモデルです。
1960年:ついに「初代グランドセイコー」誕生!
そして1960年(昭和35年)、ついには「初代グランドセイコー(GS)」が誕生します!✨
この時計は「クラウン」をベースに、25石のムーブメントを搭載。さらに精度・耐久性・美しさのすべてを追求して、瞬く間に国産最高峰の称号を手に入れた腕時計です。
セイコーの職人たちがこれまでやって来た技術と情熱の結晶とも成長モデルであり、ここからグランドセイコーストーリーが始まりました。
まとめ:グランドセイコー誕生は、日本時計の飛躍の証!
「グランドセイコー」は、日本時計の精度・品質を世界に示した記念すべきモデルでした。
「スーパー」から始まり、「マーベル」、「クラウン」と進化を続け、1960年に誕生したグランドセイコー。その背景には、常に技術を磨き、より高精度な時計を見据えながらセイコーの挑戦の歴史がありました。
グランドセイコーは日本のみならず世界中の時計ファンに愛されています。これからもグランドセイコーの歴史を見守りながら、日本時計産業の進化に期待したいです。